今、個人的に気にしている、非プログラマのMacの使い方のメモ。
主に考える系のタスクを想定している。自分はテキスト寄りのアタマなので、もしかするとブログを書く人にも有効かもしれない。
詳細はさておき、ざっくりとその要素を(でも長くなった)。アプリケーションだけでなく、人間の側の使い方なども含めて。
▼前提
おおまかに言って、Macは「外部足場」として扱っている。外側にある脳みそというか、記憶装置という側面もあるし、自分の頼りないアタマでは太刀打ちできないものを、装置の力に頼ってどうにかする場でもある。例えて言えば、コックピット。単なる外付けディスク、というわけではない。
……という考え方は、以下のあたりの書物に拠っている。つまり、現代のヒトは脳だけで考えているわけではなく、世界のさまざまなものを考える道具として使っている、という話。あのファインマンも、「わたしではなく、文字通り紙が仕事をしている」と言ったとか。
▼ハードウェア系 マンマシンインターフェイスというか
今のメインマシンはMacBook Pro 13in、2020の、M1が初めて入ったモデル。
まずはキーボードが重要。別になんでも書ける、打てるといえばそのとおりなのだけれど……、使っていてイヤなところがないことは重要。どんな道具でも、ストレスなく使い続けられることは、本当に重要だと感じている。
▾ Mac本体のキーボード
本体のキーボードは、まずまず使える。この前の世代のMacBookはペチペチキーボード(バタフライキーボード)で、アレはついになじめなかった。
レイアウトはAppleのU.S.。こだわりがあるわけではない。ただ昔からこれでやってきてしまったので、変えるのも億劫。ただ、見た目はU.S.の方がすっきりしていていい。
▾ 外付けキーボード Apple純正
外付けキーボードは、リアルフォースとか太古のIBMとかメカニカルなんちゃらとか使ってきたけど、今はApple純正。それほど気に入っているわけではないんだけど、本体と外付けを切り替えても違和感が少ないのがいい。ただ、最近は良さそうなキーボードが増えてきたので、またなにか試してみようかとも思っている。
▾ ⌘英かな 入力言語切り替え
古のCommand + Spaceキーによる入力言語切り替えがやりづらくなって以来、左右のCommandキーで日本語英語を切り替えることができるツールを入れている。これはなかなかいい。誰でも、すぐに手になじむのではないか。
▾ 若干のキーカスタマイズ Controlの位置はゆずれない
Controlキーは、左手の小指の横、「A」キーのすぐ左にあって欲しい。Controlはテキスト入力で非常によく使う。カーソル移動にも使うし、変換の細かなコントロールにも使う。非常に重要な装飾キー。だから使いやすい場所に。通常はデフォルトが左下あたりになっていると思うが、これを変更して使う。Macのシステム環境設定から行えるようになっている(外付けでも、純正キーボードならこのへんの細かい設定で問題が起こりづらい)。↓↓
▾ モニタ
モニタはもちろん、広い or たくさんあった方がいい。鉄則、と言ってもいい。
が、時々、あえて本体だけで作業をすることもある。目の前のことにギュっとフォーカスするイメージ。まあこれは気分の話。
▾ マウス、トラックパッド
キーボードに比べて、こだわりは少ない。純正で十分、という判断。その昔はアレコレ試したが……、シンプルに保っておいたほうがいい。近頃はトラックパッドだけでも問題ない人がいるようだが、ちょっと理解できない。(その昔、PowerBookにはトラックボールが付いていて、あれはなかなか使えた覚えがある↓。誤植ではない。物理的なトラックボールがついていた。物理は、いい。)
▾ 仮想デスクトップ、あるいはExposé、Mission control……
使いこなしたら便利かも、と思うものの、自分の中で定まってはいない。だいたい、でかいモニタの効率には敵わない。一覧性がなくなってしまう段階で、あまり使い物にならない。「メール専用の画面」を作ったとしても、ブラウザと同時に見たくなったらどうするのだろうか?
これは個人的な意見だが、このあたりはきっと、Appleも認識しているの課題なのではないか。OSのメジャーアップデート時、ウィンドウの扱いの改善が毎回目玉トピックになっている(という印象)。
まあ、少数の、単体でのみ使うアプリケーションを開いておくウィンドウ、とかなんとか、誰もが思いつくことだけ。例えばSpotify専用ウィンドウ、とか。
▼テキスト入力系
▾ ATOK
今はいろいろ選択肢がありそうだが、ずっとコレ。30年ぐらいになるのだろうか。他のも使ってみたことはあるが、細かな設定の具合が、ATOKを選ばせる。
その細かなカスタマイズはいろいろある。
確定文字の再変換。変換時のショートカット。カタカナ変換、アルファベット変換(1文字目だけ大文字、とか)、分節変更……等々をホームポジションでできるように。……とかなんとか、とにかく手数を少なく、ホームポジションから手を動かさなくても済むようにする。このとき、修飾キーがControlのことが多い。ということで、前述のControlキーの位置が重要になる。
▾ ATOK組み込みの辞書
これはいい。ATOKのオプションで、いろいろな辞書が入力のインラインで使えるようになる。例えば「とる」という文字を変換しようと思った場合、どの「とる」なのか、変換しながら、用語事典を引きながら、正確なものを選択できる。あるいは広辞苑や大辞林を引ける(この「引ける」も、かな書きと迷った。でも大辞林には「引」の字があたっていた)。
▾ スニペット&クリップボード拡張ツール
Copyの履歴が残っていると、いろいろラク。これはもうどなたでも必須なのでは。
また、定型文というかスニペットというか、文章を登録しておけるものもある。これも個人的にはかなり重要だ。よく使うものを登録しておく。チェックリスト的なことにも使える。例えば議事録を書くときの項目立てorフォーマットを登録しておけば、漏れがなくなる。
単なる効率化ツールのようにも思えるが、実はかなり、考える系の作業にも使える。例えば、有名な発想のための問いである「オズボーンリスト」を登録しておいて、アイデアが欲しい時にエディタにペーストして参照してみる、とか(これは実例ではない)。
▾ テキストエディタ
いろいろな文脈で使うことになる。メールや各種メッセージの下書きもここで行うことが多い。
特に個人的に重視しているのが、一覧性。通常、モニタは縦幅が狭い。よって、書いていくと、前に書いたものがすぐに見えなくなる。これが、思考にあまりよくない。エディタに限らず、例えばノートなんかでも、一目で見渡せることが重要だ。この点については、例えば↓
ゆえに、テキストエディタも、画面を分割し、一覧性を高めることができるものを使う。例えばCotEditor↓
アイコンにあるカランダッシュ849がいいですね:-)
▼基本操作系
どのツールや使い方も、効率化につながる。しかし何より、「余計なことを意識に登らせない」効果が大きい。煩わされないこと。そういう意味では、OSレベルの操作も非常に重要だ。
▾ コンテキストスイッチャー Command+Tab
Macならば、Command+Tabキーでアプリケーションが切り替わる。しかし、実はWindowsのような、「ウィンドウごとに切り替わる」挙動の方が好みだ。
その場合は、なにか一工夫をしなくてはならない。……が、今はやっていない。前に試したとき、どのアプリや解決方法もいまひとつだった。純正ショートカットのみの使用。
これを気にする理由は、もちろんアプリケーションやウィンドウを切り替えるとき、わざわざマウスに持ち替えたくないから。
ひとつのアプリ内でウィンドウを切り替えるときは、Command+Option+Tab。これは……、確か純正ショートカット。違うかも。
▾ カーソル移動に、カーソルキーを使わない
いや、カーソルキー、使う。なかったら困る(だからHappy Hacking Keyboardはちょっと使えない。そこまでGeekではない。……というか、カーソルキーを省くって……、ムリしてない? :-) )。
しかし、ホームポジションから手を動かしたくない時があるのも確か。ということで、Control+Pなどで、カーソルを移動させる。ちらっと聞いたらご存じない方もいるようだったので、念の為↓。
・↑:PreviewのP
・↓:NextのN
・→:ForwardのF
・←:BackのB
この時、ControlキーがAの横にあるのが重要。Happy Hacking Keyboardもそうなっている。
▾ Spotlight検索
初めは「なんだかイケてない」とたいして気にもとめなかったMacのSpotlightだが、いつの間にか無意識の動作に組み込まれていた。主な使い道は、Web検索。結果まで一番速くたどり着ける。と思う。↓
①どんなソフトを使っていても、Command+SpaceでSpotlight立ち上げ
②検索文字を入力し、
③Command+bでブラウザWeb検索結果へ
……という感じ。この、Command+bというショートカットが手に馴染むことが重要。見ていると、「ブラウザに切り替えて、入力欄をポイント&クリックして、入力して……」と手数が多くなっている人が多いようだ。自分ももちろんそれもやるけれども、考える系タスクの時は特に煩わされたくない。
▾ アプリケーションを立ち上げるショートカット
よく使うアプリケーションは、ショートカットで立ち上がるorアクティブになるようにショートカットを設定している。どんな作業をしていても、半ば強制的にそのアプリケーションが立ち上がる。例えばCommand+Option+Eで、Evernoteがアクティブに、とか。フォルダを開く、というようなこともできる。ランチャー系はいろいろあるが、今はたまたま↓↓
▼ テキスト以上のなにか、のためのアプリケーション
たぶん、7割ぐらいの時間を、テキストエディタかEvernoteのような、基本は文字入力をするためのツールを使っている。しかし、それ以外のアプリケーションを、考える系の作業で使うこともある。
▾ アウトライナー
その昔、(大枚をはたいて)Omnioutlinerという美しいアウトラインソフトウェアを使っていた。これはいい。……と思っていたのだが、自然とフェードアウト。今もそれほど重視していない。
その本質は構造化、階層化、ブレイクダウン……ということだと思うのだが、たいていのテキストエディタでも、インデントしたテキストを扱える。それで済むことが多い。わざわざ「場」を変える必要は、今のところ少ない。
しかし、他人とアレコレ話すようなときに使ったりする。初見の人でも、その構造が見た目でわかりやすい、入れ替え操作にエフェクトがついて把握しやすい、などの些末な理由。WrokFlowyなど。
▾ Markdownエディタ
これも、自分ひとりではあまり必要性を感じていない。なにかをドキュメント化しておきたいときなどに使う。いや、最近は使ってないか……。例えば↓。ログイン等の手間がないので、さっと打合せをしながら使ったり、いろいろな人に即興的に加わってもらったりするのに便利。まあ共同作業はGoogleドキュメントなんかでいいんだけども。
例えばHackMD↓
▾ 作図、ダイアグラム、チャート……
まあなんか、そういう、グラフィカルなもの。今はいろいろいいツールがありそうなのだが、使いこなせていない。だいたいExcelやらPowerPoint、もしくはGoogleスプレッドシートなど、なじみのあるもので済ませてしまう。
それでも時々使うのは、階層化したテキストからマインドマップ的なものを自動的に作ってくれるツール。自分が考えるというよりは、やはり誰かと考える時。あるいはプレゼンテーション的な場で、見た目を良くするために。Text2MindMap とか↓。
▼外部脳:PKM、ChatGPT、カードボックス、ツェッテルカステン、Copilot……
▾ Evernote or Notion
こういうソフトウェアのことは、なんと呼べばいいのだろうか。ノートツール? PKM? まあ、Evernoteのようなもの。
今は基本的にEvernote。いろいろ不満と不安はありつつも、有料ユーザ。対抗馬はNotionか、あるいはobsidianか……。これまでの蓄積が大きいので、乗り換えるハードルは高い。
Notionもいいと思うのだが、テキストの扱いが……。その設計思想を飲み込めないでいる。つまり、通常のテキストエディタで扱う「改行」ではなく、「改段」が主役なこと。インラインとブロック、というのがわかりやすいだろうか。これのせいで、別のアプリケーションにコピペしたり加工したりする時に、レイアウトが崩れてしまったりする。気持ちよくない。
Notion内で完結させるのならそれでもいいのかもしれないし、なにか対策があるのかもしれない。が、いずれにせよ、そういう基本的な部分になにか気を使わなくてはいけないのは、あまり気持ちよくない。
▾ ChatGPTなどのジェネレーティブAI
近頃は、AIも考える系の仕事のツールになってきた。あれこれ試している。ひとりブレストみたいなことを中心に、まあひらめいたらやってみる、という感じ。Notionにインラインで組み込まれた「Notion AI」も使ってみている。
んまあ、しかし、いずれにせよこれから。
きっと、日常的に使うツールに組み込まれて、だれもが普通に、それと意識すらすることなしに使うようになっていくのだと思っている。それが仕事だけでなく、なんでもかんでもAIが一枚噛んでくるようになる。のかもしれない。そんな世の中がどんなものになるか、ちょっと興味がある。(この記事のタイトルと「記事の概要」は、ChatGPTに書いてもらった。誇大広告だったらすみません)
▾ ブラウザ
ブラウザは、未だにしっくり来ていないところがある。いつもフワフワな作業をしている感じ。
メインはSafari。一時期、出張仕事がやたらと多い時にChromeのバッテリー消費の激しさが気になって以来、Safariがデフォルトになっている。かなり少数派だろう。
使い方は、それほど洗練されていない。アドブロッカーは入れている。「タブグループ」という機能で、開いていたセッションを保存しておく、ということはする。あとは……、まあ適当に。
Chromeもサブとして。アドオンが強力なので、使わないわけにはいかない。
そのChromeに、「ウェブページをひとつのアプリケーションとして切り出す」機能がある。これはけっこういい。よく使うサイト、例えばGmailのページを、OSレベルのアプリケーションのように扱える。Command+タブで切り替えたり、Launchpadの中に入れたり、あるいはブラウザを閉じても常に表示させておいたり……。
ブラウザというかウェブページの欠点のひとつは、「消えてしまう」ことだと感じている。かなり特殊な認識だと思うけど。言い換えると、固定されていない。すぐに消えてしまう。一時的なものでしかない。
これをアプリ化することで、もう少し、存在感が出てくる。無意識の中で、扱い方が変わってくる。GmailやWeb版のSlackとか、まあそういった操作を多く行うもの、またよく使うものに関しては、アプリ化しておくと自分の世界観みたいなものにマッチする。
似たような方向性で、sidekickというブラウザもある。これはサイドバーにそうした「操作系」のWebページを保存しておくもの。だから、世の中には似たような認識を持っている人もいると思うのだが。
▾ オンラインストレージ
DropBoxやらなにやらは、まあ使っている。しかし、自分のアタマはあくまで「ローカル」で動いている。スタンドアロンのMacのつもりでいる。……というのは、かなりオールドスクールな感覚なのかもしれない。
この感覚を説明するのは難しい。例えて言えば、バッグに近いだろうか。化粧バッグとか大工の道具箱とか……、そこに、必要なものが揃って、整理されている。それが気持ちいい、というか安心するというか頼もしいというか。そんな感覚を、Macにも持っている。
もちろん、Macの使用中はほぼ100パーセント、オンラインになっている。しかし……、あくまで、自分のMacはこのハードウェアがすべて。オールインワン。これ自体でパーフェクト。これさえあればいい。……そんな気持ちを持ちたい。前述のobsidianはローカル志向のようだけれど、もしかしたらその開発者は同じ世界観を持っているのかもしれない。
他にも細かいことはいろいろありつつも、この辺にしておく。
あまりマニアックにやり過ぎてしまうと、むしろそれに縛られて、自由が利かなくなったり、知らないうちに狭まっていたりする。ちょっとした不具合でストレスがたまったりする。あるいは、ハイテクを導入しても、結局、指(≒無意識)に馴染まなかったりする。ので、ほどほどを旨としている。「パーフェクト」は幻想に過ぎない。
しかし、こうして書き出すと、我ながらなかなか面倒なヤツだと思ったりもする。そういうことじゃなくて、考える内容にこだわれよ、とかなんとか。……まあでもこれはそういうもの。こういうことが気になる性質が一部ある。配られたカードで勝負するしかない。
そもそも、下手の考え休むに似たり。たいしたことを考えているわけでもない。残念ながらSupremeなアタマは持ち合わせていない。しかしそれでも、多少はマシな結果が出せたら、どなたかの役に立つかもしれない。……というようなことを考えていたら、今の時点ではこうなっていた。そのメモ。